データサイエンス資格3選を比較:目的・難易度・受験しやすさから選ぶ最適な一歩
「データサイエンスを学びたいけれど、何から始めればいいのか分からない」。そんな声をよく耳にする。興味を持ったとき、最初の一歩として資格取得を検討する人も多い。体系的に知識を整理でき、スキルの証明にもなるからだ。しかし、選択肢が多すぎて迷ってしまうのも事実である。
今回は、注目度が高く、実際にビジネスや教育現場でも活用されている「DS検定★(リテラシーレベル)」「数学ストラテジスト中級」「統計検定 データサイエンス発展(DS発展)」の3つを取り上げ、それぞれの特徴や使いどころを整理してみたい。
目的や設計思想から見る3資格の違い
資格名 | 主催団体 | 特徴・目的 |
---|---|---|
DS検定★(リテラシー) | 一般社団法人データサイエンティスト協会 | AI・データサイエンスの基礎リテラシーを証明する、社会人全般向けの資格。組織内の共通認識づくりにも有効。 |
数学ストラテジスト中級 | マナビDX(旧データミックス) | 数理的思考をビジネスに応用する力を問う。分析実務に直結した内容で、データドリブンな意思決定を求める人に最適。 |
統計検定 DS発展(CBT形式) | 統計質保証推進協会・統計検定委員会 | 統計や機械学習の理論と応用力を評価する。通年実施で柔軟に受験可能な高度資格。研究職や高度分析職向け。 |
※統計検定DS発展には年2回のPBT(紙ベース試験)もありますが、現在主流となっているのは通年で受験可能なCBT(コンピュータベース試験)です。
受験のしやすさとスケジュール感
項目 | DS検定★ | 数学ストラテジスト中級 | 統計検定 DS発展(CBT) |
---|---|---|---|
実施時期 | 年2回(春・秋) | 通年(CBT方式) | 通年(CBT方式、全国のテストセンター) |
結果判明 | 約1〜2ヶ月後 | 受験直後に仮結果、3〜5営業日で正式通知 | 試験直後に結果レポート、4〜6週間後に合格証送付 |
合格証の形式 | PDF形式でダウンロード可能 | PDF形式で発行 | PDFおよび紙証書(希望者のみ) |
CBT方式を採用している数学ストラテジスト中級と統計検定DS発展は、日程の自由度が高く、忙しい社会人にも受験しやすい設計になっている。
再受験の条件と学び直しのしやすさ
項目 | DS検定★ | 数学ストラテジスト中級 | 統計検定 DS発展(CBT) |
---|---|---|---|
同一期間内の再受験 | 不可(試験期間中は1回のみ) | 可(制限なし) | 可(前回受験から7日間経過が条件) |
次回受験までの待機期間 | 次回の試験まで待機 | いつでも再受験可能 | 7日以上空ければ再受験可能 |
統計検定DS発展のCBT方式では、7日(168時間)を空ければ何度でも受験できる。この柔軟さは、学び直しとPDCAを回す上でも非常にありがたい。
難易度や学習内容の比較から見える違い
観点 | DS検定★ | 数学ストラテジスト中級 | 統計検定 DS発展(CBT) |
---|---|---|---|
難易度 | 基礎レベル(★☆☆☆☆) | 中級レベル(★★★☆☆) | 上級レベル(★★★★☆) |
合格率 | 約45〜50% | 非公開(推定60〜80%) | 約47.6%(2023年) |
出題内容 | AI・データサイエンスの基礎、ビジネスリテラシー | 数学的思考とビジネス活用 | 統計理論、機械学習、モデル評価 |
対象者 | 社会人全般 | ビジネス職・企画職 | データ分析職・研究職 |
数学レベル | 中学〜高校基礎程度 | 高校〜大学1年程度 | 大学〜大学院レベル |
学習の難易度もそれぞれ異なり、数学やプログラミングに不安がある人にはDS検定が、実務視点で思考力を養いたい人には数学ストラテジストが、専門性の高い分析力を磨きたい人には統計検定DS発展が適している。
自分のキャリアに合わせた選び方を
- DS検定★:データサイエンスに興味を持ち始めた人、異業種から関心を持っている人に最適。初学者にとって「なにを学べばいいか」の道標になる。
- 数学ストラテジスト中級:実務と学びを両立したいビジネスパーソンにおすすめ。数式の背後にある「思考の型」を身につけることができる。
- 統計検定 DS発展:アカデミックな背景を持つ人や、機械学習やモデル構築に関わる実務者向け。理論と実装をバランスよくカバーしている。
どの資格も、それぞれの「問い」に対して適した道具になってくれる。大切なのは、資格そのものではなく、それを通じてどんな力を育てたいかを明確にすることだ。
参考資料:
関連記事