沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘—
〈SEOのためのライティング教本〉
「沈黙のWebライティング」(松尾 茂起 著、エムディエヌコーポレーション)の著者は、株式会社ウェブライダーの代表で、Webプロデューサーとして活動する一方で作曲家としても活動しており、Webと音楽を絡めた様々なコンテンツをリリースしているアーティスト感あふれる人物。著者は、2010年に自身が代表を務める株式会社ウェブライダーを立ち上げた後、「すべての人をヒーローに」という理念を掲げて数多くのWebサイトのプロデュースを行っています。
そんな著者が効果の出るWebサイト運営について書かれた書籍が「沈黙のWebライティング」です。
本書は、巷によくある小手先だけのSEO対策ではなく、自前でECサイトやブログなどを運営する時に、知っておくべき内容が豊富で、精神論だけでなく今日から役立つ具体的なノウハウが詰まっています。Web上でテキストライティングを行う上で必要な考え方が書かれており、どうやったらわかりやすい文章が書けるのか分からない、検索エンジンに評価される記事を作りたい、記事を書いても成果が出ず、困っているなどの悩みを抱えている方にお勧めの礎石です。
今回は、「沈黙のWebライティング」の中から、新しくWebサイトの担当になった人にも役立つ6つのテクニックを取り上げてみたいと思います。
効果の出るサイトって?
一部のサイトでは、数ページしかないサイトだったり昔ながらのメルマガ配信だけしか行っていないのにも関わらず、大きな成果を上げているサイトがあります。これは、マーケティングの本質をとらえて運営できているからだと著者はいいます。では、マーケティングの本質というのは何かというと、"利用者が何を求めているかをキチンと考えているか"とのことです。
手動ペナルティの確認方法は?
評価が低い想定外のサイトから自分のサイトへ、不自然なリンク(バックリンクといいます)が大量に張られていると、スパム行為とみなされてGoogleから手動ペナルティを受ける場合があります。通常このようなことは発生しないのですが、自分が運営しているサイトのアクセスアップを、怪しいSEO業者に頼んだことがある場合、このような不自然なバックリンクが大量に発生することがあります。
これは、Googleのサーチコンソール(旧ウェブマスターツール)で、サイトに関するペナルティが発生していないかをチェックすることができるそうです。具体的には、サーチコンソール(https://www.google.com/webmasters)にログインしたのちに"検索トラフィック->手動による対策"のページで確認できます。
ここで手動ペナルティが行われていることが分かった場合は、想定しないバックリンクをDisallow Links(否認リンクリスト)を提出すれば良いです。これはGoogleに限らずMicroSoftが運営しているBingでも申請することができます。Bingの場合は"Bingウェブマスターツール"から受け付けてもらうことができます。
また、サイトへのアクセスが非常に少ない場合、自サイトのページがそもそも検索エンジンに登録されていない場合があります。自サイトがGoogleにインデックスされているかを確認したい場合、例えばサイトドメインがexample.comだとするとgoogle検索で"site:example.com"で検索することでインデックスされているか確認できます。サイト内のページ数に加えて、この結果が極端に少ない時は問題があるはずなので、Googleサーチコンソールでチェックが必要となります。
もちろん、予期せぬペナルティを避けるために、Googleが提供しているウェブマスター向けガイドラインに沿ったサイト構築を行うのは大前提です。
指定したドメインの過去の状態を確認する
Web担当になった人は、新しく作ったサイトを担当するだけではなく、前任の人からサイト運営を引き継ぐ場合もあります。このような場合、担当するサイトが過去どのような変更を行ってきたのか、過去の履歴を知りたくても資料が残っていない場合がア多くあります。
このよう場合は、指定したドメインの過去のページデザインをInternet Archiveで確認できる場合があります。中古ドメインを購入したりサイト担当が変わったりで過去のサイトの状況が全く分からないとき、状況を類推するのに便利です。
サイトの目的はコンバージョンさせること
目的が達成できていなければ、綺麗なサイトを作っても意味がないです(サイト構築はアートではなく、効果を出すこと) サイトに来てくれた人が、本当に求めている情報を提供する必要があります。
それでは、効果のあるサイトというのは何で評価をすればよいでしょうか?
これに対して、本書では以下のように語っています。
- 平均セッション時間(滞在時間)が短すぎないか?によって判断してみる。
- 滞在時間が短いという事は、サイトに来てくれた人が、必要な情報を見つけられなかった可能性が高い。
また、顧客視点でサイトを作ることができているか?の視点も重要だといいます。
例えば、ECサイトの場合、実際に自分がお客さんになった気分で商品を買ってみる必要があります。商品を買うのは、自分のサイトでなくても同業他社でも良いとのこと。なぜかというと、物を買うときに他のサイトと比較したりする過程も含めて、自分のサイトの課題点はどこにあるのか学ぶ事が出来るからとのことです。
サイトは、デザインよりも文章が非常に大事です。商品の魅力は言語化しないと伝わりません。ただし小説家になるわけではないので、気の利いたキャッチコピーは必要ありません。素直な言葉で、商品の魅力を伝えれば伝えればよいのです。
文章作りについては、ダイレクトレスポンスマーケティングが役に立ちます。ダイレクトレスポンスマーケティングでは以下のような点に注意してテキストライティングを行えばよいそうです。
- お客様の事は、「皆さん」ではなく、「あなた」で書く
- ストーリーを通して、お客さんの感情を動かす
- 写真や動画を使って、リアル感をプラスする
- 弱みや失敗などのネガティブな情報も入れ、リアル感と、信頼感をプラスする
- お客様の声、販売実績、受賞実績などを入れて、客観的な信頼感をプラスする
- お金の節約より、時間の節約など、新たな軸を提供して、お客様に新たな気づきを与える
- ページ移動でユーザの熱感を下げないよう、セールスレターはできるだけ、1ページで完結させる
バックリンクを増やす
自分のサイトにお客さんを多く呼ぶためには、他のサイトやSNSなどから自然な形で自分のサイトにリンクしてもらう必要があります。そのためには、他の人に紹介したいようなコンテンツを作る必要があります。
他の人に紹介したいコンテンツは何かというと、例えば、漫画風にして読みやすくするとか、ぶっとんだ設定のストーリー仕立てにするなどがあげられます。このどちらも、この書籍自体が行っている取り組みなので、実際に読んでみると他の人に紹介したいというのがどういう感情なのかよく理解できます。
また、コンテンツを作るうえでの指針のマインドマップが、書籍の紹介ページからダウンロードできるので参考になります。(...という紹介自体が、書籍の紹介サイトへのバックリンクを増やしています。このような取り組みが必要ということです)
503エラーについて
共用のレンタルサーバを使っていると、アクセスが増えたときに503エラーが発生することがあります。これはサーバのプログラムの不具合ではなくレンタルサーバ側が意図的に同時接続数による制限を行っているためとのことです。
レンタルサーバの運営会社は、1台のサーバで沢山のドメイン(サイト)を運営しているのですが、1台のサーバの同時接続数には限りがあるため、安い契約プランのサーバでは1ドメイン当たりの同時接続数を低めに設定する必要があります。このため、安い契約プランのレンタルサーバは503エラーが出やすい傾向があるとのことです。
では、自分が使っているレンタルサーバは、1サーバで何個のサイトを管理しているのでしょうか?
そのためには、まず自分のレンタルサーバのグローバルIPアドレスを知る必要があります。WebサーバのIPアドレスは、サーバにsshログインしてnetstatコマンドで確認することができます。また、同一のIPアドレスを利用している別のドメインを調べるには、Bingの検索ページでip:111.222.333.444といった形で、"ip:"+自分のサーバのアドレスで検索すれば一覧を調べられます。ここで多くのドメインが出てくる場合は、1台のサーバで多くのサイトを運営しているという事が分かります。
503エラーが発生しているかはサイト運営していると気づき辛いので、監視しておくと良いです。WordPressでサイトを構築している場合は、Jetpackプラグインに通知サービスがあるので有効にしておくと良いです。
冒頭でも書いたように、運営していているWebサイトは効果を出さなければ意味がありません。本書では、このために必要なライティングの知識のみならず、サイトに問題が発生していないかの確認方法や、他の人から紹介してもらえるコンテンツ作りなど、多くの情報を得ることができます。
内容もマンガ形式で読みやすくなっているので、新しくWeb担当になった人だけに限らず、ブログサイトを運営していてサイトのアクセスアップしたい個人の人にもおすすめの書籍です。
沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘—
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