電子ペーパーというと、これまで白黒表示のKindleやKoboなどを思い浮かべる人が多いかもしれない。目に優しく、紙のように読めるけれど、動画やカラーコンテンツには向かない――そんなイメージがあった。でも、今年5月に発売された「BOOX Tab X C」は、そんな電子ペーパーの世界をがらりと変えてくれる存在だ。
搭載されているのはE Ink社の「Kaleido 3」ディスプレイ。モノクロ表示では300ppi、カラー表示でも150ppiと、十分に実用的な解像度を確保しながら、4096色のカラーを表示できる。特に注目したいのが、13.3インチという大きさ。これにより、A4サイズのPDFがほぼそのままのレイアウトで読めるし、雑誌のようなカラーページも視認性高く楽しめる。画面サイズとカラー表示の両立は、長く待ち望まれていた組み合わせだった。
読書も仕事も「目が疲れない」という正義
このタブレットの最大の利点は、やはり「目が疲れにくい」ことに尽きる。液晶ディスプレイや有機ELは発光型なので、長時間見ているとどうしても目が乾いたり、頭が重くなったりする。自分もよく、夕方になるとPCの明るさを一段階下げたり、ダークモードに切り替えたりしていた。
一方で、E Inkは「反射型ディスプレイ」なので、目に直接光を当てない。つまり、紙の本と同じように読める。しかも、BOOX Tab X Cはフロントライトも暖色・寒色で調整できるため、時間帯や場所に応じて、より快適な読書環境を整えることができる。
これがどれほどありがたいかは、長時間PDFを読んだり、ノートを取ったり、夜の静かな時間に目を酷使しがちな人ほど実感するはずだ。
スペックは“タブレット級”、でも本質は“道具”
BOOX Tab X Cは、Android 13を搭載し、8コアCPU、6GB RAM、128GBストレージという構成になっている。これだけ聞くと、普通のタブレットのようにも感じるが、実際に触ってみると、雰囲気はやはり“読む”“書く”に最適化された「文具」に近い。
画面の描画は、独自の「Super Refresh Technology」によって、E Inkでありがちな“もっさり感”がかなり抑えられている。ウェブページのスクロールやPDFのページ送りも快適で、読書体験を邪魔しない。
さらに、4096段階の筆圧に対応した専用スタイラス「InkSpire」による手書きノート機能は、紙に近い書き心地を追求しており、メモやアイデア出しにちょうどいい。触覚フィードバックがあるのも地味にうれしいポイントで、これがあることで“書いている感覚”がしっかりと手に残る。
作業と生活を軽やかにつなぐデバイス
BOOX Tab X Cは、ただのリーダーでは終わらない。Google Playに対応しているため、Kindle、Dropbox、Evernote、Slackといった普段使っているアプリをそのまま利用できる。カレンダーを開きながら会議資料に書き込みをしたり、クラウドに保存されたメモを見返したりと、日々の作業にすっと入り込んでくれる。
しかも、USB Type-Cでの充電、Bluetooth 5.0、Wi-Fi 5対応と、外部デバイスとの連携もしっかりしている。専用のキーボードケースをつければ、軽作業ならこれ一台で十分。ノートPCを持ち歩くほどでもないけれど、ちょっと作業したい――そんなときに心強い相棒になってくれる。
新しいE Ink体験を求める人へ
紙のように読めて、液晶のように使えて、しかもカラー表示に対応――BOOX Tab X Cは、「こんな電子ペーパー端末を待っていた」という人の願いに、まさに応える一台だ。
自分も最初は「E Inkでカラーはまだ早いかな」と思っていたけれど、実際に使ってみると、目に優しく、それでいて多機能。読書、ノート、ドキュメント管理、スケジュール調整。あらゆる作業を“落ち着いた視線”でこなすことができる。
目を酷使せずに、日々の情報と向き合いたい人。集中できるデバイスを探している人。そんな方には、ぜひ一度手にとって試してみてほしいと思う。